とあるリーマン建築家の書評ブログ

建築、デザイン、アート、ビジネスなどを中心に興味の赴くままに読んだ本を不定期でご紹介します。

「丹下健三と都市」豊川斎赫

最近の若手建築史家の中で丹下健三の研究でよく知られている人といえば豊川さんでしょう。 建築的不感症 建築の実務を初めて十数年、学生時代に比べると最新の建築雑誌を毎月食い入るように読み耽ることは少なくなりました。デザインのトレンドは5年、10年く…

「理系脳で考える」成毛眞

元日本マイクロソフト社長の成毛さんの本です。これからは理系脳の持ち主だけが生き残る時代だということで、理系脳の4条件を提示しています。 ①新しいものに興味がある ②刹那主義で未来志向 ③コミットの範囲が明確 ④コミュニケーションが合理的 読んでいる…

「笑福亭鶴瓶論」戸部田 誠

笑福亭鶴瓶さんがどんな芸人であるかをそのデビューの頃から掘り下げて分析した新書です。本書で取り上げられる鶴瓶さんの特徴をいくつかかいつまんでみると、 ・人見知り、時間見知り、場所見知りしない ・最高の状態でナメさせる男 ・落語家のイメージを壊…

「超・戦略的作家デビューマニュアル」五十嵐貴久

本当に具体的 作家になるための方法が本当に具体的に書いてあります、この本。毎年発表される芥川賞のニュースを観ていると、普通のサラリーマンや、引きこもりや、コンビニ店員をしながら小説を書き、受賞して一躍時の人になる姿に「自分でも何か書いてみよ…

「リーダーを目指す人の心得」コリン・パウエル

黒人として初めて米国陸軍で4つ星の対象まで上り詰め、史上最年少で統合参謀本部議長を務め、国務長官でもあったコリンパウエルのリーダー論です。 パウエルのルール13か条 1.なにごとも思うほどには悪くない。翌朝には状況が改善しているはずだ。 2.まず…

「Airbnb story」リー・ギャラガー

ウーバーとともにシェアリングエコノミーの代表格として語られるエアビーアンドビーの創業物語です。チェスキー、ゲビア、プレジャージクの3人が、ひょんな事から立ち上げたエアビーアンドビーを世界的な企業にまで育て上げるプロセスをチェスキーはこのよう…

「塑する思考」佐藤卓

日本を代表するグラフィックデザイナーの一人である佐藤卓さんが、デザインとは何かを愚直に追い求めた思考の奇跡をまとめた本です。 図版は少なく、佐藤さんのこれまでの仕事を知らない人には文章を読んだだけで何を言おうとしているのか全ては伝わりづらい…

「宝くじで1億円当たった人の末路」鈴木信行

日経ビジネスの副編集長がタイトルにもなっている「宝くじで1億円当たった人」や「事故物件を借りちゃった人」「子供を作らなかった人」「自分探しを続けた人」「8時間以上寝る人」等の末路をインタビューによって探った本です。 タイトルと編集の妙 これは…

「世界を動かす巨人たち〈経済人編〉池上彰

池上さんが持ち前のわかりやすい語り口で世界を動かす経営者たちを紹介した本です。紹介する経営者たちはこちら。 ジャック・マー(中国の楽天、「アリババ」の経営者)ルパートマードック(ウォール・ストリートジャーナルを買収したメディア王)ウォーレン…

「死ぬほど読書」丹羽宇一郎

元伊藤忠社長、丹羽宇一郎さんの読書論です。 本に代わるものはない ネットで簡単に情報が集まる時代。しかし、情報の信頼性の点で本の優位性はあると言います。「自分は何も知らない」と自覚し、専門家の言うことだからと鵜呑みにせず、自分の頭で考えなが…

「幸福の資本論」橘玲

超リアリストで金融小説や資産運用系の著作で知られる橘玲さん。今回は「幸福」というなかなか万人に通用する定義づけの難しそうなテーマに挑みます。 幸福の3つのインフラ「金融資産」「人的資本」「社会資本」 まず、幸福の3つのインフラとして「金融資産…

「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」山口周

「なぜ○○は○○なのか?」っていうタイトルの本、多いですね。疑問を投げかけられると答えを知りたくなって本を手に取ってしまう→売れる っていうことなんでしょうか。 論理的・理性的な情報処理スキルの限界 世界トップクラスのアート・デザイン系の大学院大…

「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」若林正恭

文才のあるお笑い芸人は又吉だけじゃない オードリーの若林さんのキューバ旅行記です。前作「社会人大学人見知り学部卒業見込」の頃からすると1人でキューバ旅行をするまでに外向的になったのかと半ばその変化に驚きつつこの本を手に取りました。日本のお笑…

「筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方」Testrterone

マッチョ社長Teststeroneが説く栄養学 マッチョ社長でおなじみのTeststeroneさんによる食事にフォーカスした本です。元々ツイッターが面白かったのでフォローするようになり、「筋トレが最強のソリューションである」という本も面白かったので買ってみました…

「サピエンス全史」ユヴァル・ノア・ハラリ

タイトルに偽りなし 若きイスラエル人歴史家による、その名の通り我々サピエンスの全史です。なぜ世界史でも人類史でもなくサピエンス全史なのか、読んでみて分かりました。この歴史書は我々を「サピエンス」という哺乳類の一種であると科学的な視点で位置付…

「世界一訪れたい日本のつくりかた」デービッド・アトキンソン

見事なロジカルシンキング デービッド・アトキンソンさんの著作は「新・観光立国論」や「新・所得倍増論」等も大変面白かったので、この新作も手に取りました。 どの著作もそうなのですが、とにかくロジカル。徹底的にデータを集め、その因果関係を分析した…

「もがく建築家、理論を考える」T-ADS編

東京大学建築学専攻Advanced Design Studies の無料オンラインコースの内容をまとめ編集し直した建築家のレクチャー集です。 講師は隈研吾、磯崎新、香山壽夫、藤森照信、大野秀敏、妹島和世と日本建築界の大御所ばかり。そんなオンラインコースがあるのを知…

「3年後に結果を出すための最速成長」赤羽雄二

マッキンゼー出身のビジネスコンサルタントによるビジネス新書 マッキンゼー出身のビジネスコンサルタントが書いたこれからの時代の変化とその中でビジネスマンがいかにサバイバルするかをまとめた本です。 時代の変化についてはAIの進化やブロックチェーン…

「坂茂の建築現場」坂茂

リーマン建築家のブログを名乗る割りに建築の本が全然出てこないのもなんなので、ようやく建築関連本です。発売されてすぐ買っていたものの、ちょこっと読んだまま放置していたのですが、改めて続きを読んでみました。坂さんがデビューしてから現在まで何を…

「生涯投資家」村上世彰

あの村上ファンドの村上世彰氏が今語ること あの「村上ファンド」の村上世彰氏が自らの半生を語った本です。読んでみて随分村上氏の印象が変わりました。フジテレビの買収騒動のころメディアで報じられていたのは「強欲な投資家」という単純化されたイメージ…

「アート×テクノロジーの時代」宮津大輔

最先端のクリエイティブユニット チームラボ、タクラム・デザイン・エンジニアリング、ライゾマティクス、ザ・ユージーンスタジオといった最先端のクリエイティブユニットの動向を追った新書です。 私はチームラボとライゾマティクスしか知りませんでしたが…

「海外でデザインを仕事にする」岡田栄造編

アラフォーデザイナー達の海外での悪戦苦闘 私と同じアラフォー世代で、海外に飛び出した十四人のデザイナーの悪戦苦闘の様子をまとめた本です。同じシリーズですでに刊行されている「海外で建築を仕事にする」、「海外で建築を仕事にする2」も面白かったの…

「人を動かす人になれ!」永守重信

日本電産の社長である永守重信さんのリーダー論です。 最終的には「人」とはどういうものかを知っているかどうか 前回、明石家さんま原作の「Jimmy」を紹介しましたが、どんな分野も突き詰めると「人間はどういう生き物か」「人間はどんな時どんな気持ちにな…

「Jimmy」原作 明石家さんま

主演俳優のスキャンダルでお蔵入りになりそうだと話題のドラマの原作本です。原作者は明石家さんま。主人公はもちろんジミー大西です。明石家さんまを中心として村上ショージ、Mr.オクレといったいつものメンバーの若かりし頃の爆笑エピソードのオンパレード…

「わかりたい!現代アート」布施英利

現代アートを語る上で欠かせない34人のアーティストを「モダン」と「ポップ」という2つのキーワードでザックリと概観する現代アートの初学者向けの文庫本です。 私は現代アートの体系だった知識は持ち合わせていませんが、好きで美術館に展覧会を観に行った…