「リーダーを目指す人の心得」コリン・パウエル
黒人として初めて米国陸軍で4つ星の対象まで上り詰め、史上最年少で統合参謀本部議長を務め、国務長官でもあったコリンパウエルのリーダー論です。
パウエルのルール13か条
1.なにごとも思うほどには悪くない。翌朝には状況が改善しているはずだ。
2.まず怒れ。その上で怒りを乗り越えろ。
3.自分の人格と意見を混同してはならない。さもないと、意見が却下されたとき自分持ちに落ちてしまう。
4.やればできる。
5.選択には細心の注意を払え。思わぬ結果になることもあるので注意すべし。
6.優れた決断を問題で曇らせてはならない。
7.他人の道を選ぶことはできない。他人に自分の道を選ばせてもいけない。
8.小さなことをチェックすべし。
9.功績は分け合う。
10.冷静であれ。親切であれ。
11.ビジョンを持て。一歩先を要求しろ。
12.恐怖にかられるな。悲観論に耳を傾けるな。
13.楽観的であり続ければ力が倍増する。
パウエルが自身のキャリアの中での経験から学んだ事柄をエピソードとともに語っていく形式です。読んでいると、いかにも優秀な軍人という感じで、端的な言葉と、怒りっぽい性格と、勝気で楽観的な思考が随所に伺えます。仕事のスタイルとしては決められた時間内で効率よく集中して仕事をし、終わったら帰ってプライペートな時間もしっかり確保する、という昨今ののワークライフバランスの議論で挙げられる理想像とほぼ同じスタイルを理想としているようです。国家の運営をする大仕事であってもやはりワークライフバランスを重視するんですね。というか、それだけの大仕事だからこそ、なのかもしれません。
消せない過ち
パウエルが自身のキャリアを振り返って最大の失敗は「イラクの大量破壊兵器についての誤解」であったと語っています。国家安全保障会議やCIAが情報を収集し、分析した上でイラクが大量破壊兵器を持っていると結論づけたものの、後にそれが誤りであったと判明します。アメリカがイラクがへ派兵する大義名分が崩壊してしまった。国家のトップクラスの頭脳が集まった組織でも過ちを犯してしまう。リーダーは何をすべきだったのか、どうすれば組織の過ちを見抜けたのか。
リーダー論やビジネス論など、世の中にはあまたの本がありますが、その大半は著者がリーダーでもなければ一流のビジネスマンでもない本です。情報はなるべく一次情報に触れるべきだとすると、リーダー本人が書いた本にはある価値があるのではないでしょうか。そういう意味でもアメリカという大国の中枢にいた著者の考えを母国語で読める環境にもありがたみが湧いてきます。
評価:★★★★(5段階評価)