とあるリーマン建築家の書評ブログ

建築、デザイン、アート、ビジネスなどを中心に興味の赴くままに読んだ本を不定期でご紹介します。

「超・戦略的作家デビューマニュアル」五十嵐貴久

本当に具体的

作家になるための方法が本当に具体的に書いてあります、この本。毎年発表される芥川賞のニュースを観ていると、普通のサラリーマンや、引きこもりや、コンビニ店員をしながら小説を書き、受賞して一躍時の人になる姿に「自分でも何か書いてみようか」と思う人もいるのではないでしょうか。文体やら、構成やらそういう技術的なマニュアルではありません。この本に書いているのは作家になる「方法」です。

 

出版社が主催する長編小説の新人賞のミステリー部門に応募するのがベスト

作家になるための方法は自費出版、ネットを通じての出版、コネを使っての作家デビュー、持ち込み、などもありますが、最も確率が高いのは新人賞を獲る、だそうです。これが最も現実的な方法だと言います。

では、どんな賞に応募すれば良いのか。それはズバリ「出版社が主催する新人賞」。例えば自治体が主催する新人賞は、賞をあげてしまえば終わりで、そもそも出版させようとか、作家を継続的にフォローして育てようという体制にない。一方出版社の主催する新人賞はそれで売れる作家を発掘し、売上につなげようという企業としてのスタンスがあるので、作家になりたいなら「出版社が主催する新人賞」への応募が最短ルートなのです。それも書籍になるだけのボリュームを備えた「長編小説」の新人賞です。

次にジャンル。賞が扱うジャンルとして多い「ミステリー」が有利だそうです。思えば戦略的に物を考えるタイプの作家、森博嗣さんもミステリーのメフィスト賞かなにかを受賞されて作家になられていたような気がします。

本書の中には具体的に著者が推奨する出版社主催の新人賞がいくつも紹介されています。

 

実は求められる常識

応募にあたっては当たり前ですが応募要項をきちんと読んでそれを守り、推敲して誤字脱字も直し、きちんと仕事のできる常識人であることを出版社の社員に理解してもらうことも重要だと言います。

 

こうしてみると何だか自分にもできそうな気がしてきます。ただ、新書でこういう本が発売されるということはそれだけ潜在的な作家志望者が沢山いるわけで、競争率も凄そうですけどね。

 

評価:★★★(5段階評価)