とあるリーマン建築家の書評ブログ

建築、デザイン、アート、ビジネスなどを中心に興味の赴くままに読んだ本を不定期でご紹介します。

「投資バカの思考法」藤野英人

温和ながら明晰な語り口

アクティブファンドとして評価の高い「ひふみ投信」で知られるレオス・キャピタルワークスCIOの藤野さんの著作です。私はインデックスファンド派なのですが、以前マネーフォワードのイベントで藤野さんの対談を聞いたことがあり、その温和ながら明晰な語り口に感心した覚えがあります。

洞察力

その対談でも語られていましたが、投資に対するマーケット感覚を磨くのに街歩きが有効であると述べていました。どんな店に行列ができているのか。街で何が流行っているのか。その情報の最前線は、証券アナリストの手元に数字としてあがってくるよりもずっと早く、現場に、街中にある、と。

マーケットの本質を見抜く3つの習慣

①他人の目になりきる
「自分はどう思うか」ではなく、「相手はどう思うか」をイメージできれば、主観とは別の視点で物事を観察できます。

②関心事を増やす
 関心事が増えれば、それに比例して、インプットする情報量が増えます。

③物事を複合的かつ立体的に見る
 マーケットにおける経験、人生における経験、会社における経験を積むほど、断片の情報から全体を埋めていくことができます。

藤野さんはクラシック、社交ダンス、テニス、トライアスロン、野球観戦、カメラ、等様々な趣味を持っています。様々な趣味を持ってインプットのチャンネルをいろいろと変えることで、自分の中の視点が増えていくといいます。建築家だって建築雑誌ばかり読んで建築ばっかり見ているだけでは、視点が偏ってしまうように思います。

個人が株の運用でプロのファンドマネージャーに勝とうと思ったらこうした街の空気を真っ先に吸い込むことと、長期投資であることが重要そうです。藤野さんは初心者の投資で大切なポイントを下記のようにまとめています。

【初心者の投資で大切な5つのポイント】

①すぐにはじめる
②「手に汗をかかない額」を投資する(小さく)
③情報をしっかり集める
④一気に投じない(ゆっくり)
⑤最低3年間は実践する(長く)

その他にも投資に関してだけでなく、人生のスタンスに関わる金言がちりばめられています。専門用語を使わず、読みやすい文章なので、万人にお勧めできる本です。

ちなみにレオス・キャピタルワークスコーポレートロゴは佐藤オオキさんによるものだそうです。佐藤さんのエピソードも文中に出てきます。売れっ子ですね。

 

評価:★★★★(5段階評価)

 

投資バカの思考法

投資バカの思考法