とあるリーマン建築家の書評ブログ

建築、デザイン、アート、ビジネスなどを中心に興味の赴くままに読んだ本を不定期でご紹介します。

「死ぬほど読書」丹羽宇一郎

伊藤忠社長、丹羽宇一郎さんの読書論です。

本に代わるものはない

ネットで簡単に情報が集まる時代。しかし、情報の信頼性の点で本の優位性はあると言います。「自分は何も知らない」と自覚し、専門家の言うことだからと鵜呑みにせず、自分の頭で考えながら、興味に任せてどんどん読む。それが著者の読書感です。

これには全く同意します。例えば自分の専門分野である建築について、新国立競技場の問題や豊洲新市場の問題がテレビのワイドショーなどで報道される様子を見ると、業界の裏事情がある程度わかるだけに、いかにマスコミの報道がいい加減なものかがわかります。ということは、自分の専門以外の分野の情報も相当いい加減に報じられている可能性がある。それを防ぐにはやはり読書が一番有効だと感じます。

 

どんな本を読めばいいのか

基本的には興味の赴くままに読めばいいといいます。書評もあまり信用しなくて良いと。「読書は即効性を求めても意味のないものが多い」のでハウツー本もあまり読まないそうです。また、読みづらい本、妙に難解な言い回しの本は著者の能力が足りない場合もあるので、面白くなければ読むのをやめて良い、と。

 

本を読まない日はない

本は毎日読む。本にお金は惜しまない。これにも全く同意します。
気になった内容はノートを取る。そこまではやっってないです、私は。
ただ、こうやって書評ブログをやっているのがそれに当たるのかもしれません。

 

とまぁ、こんな感じで丹羽さんの読書感が語られていくのですが、基本的な考え方は私も一緒だったので、個人的には自分の読書スタイルについて「あ、このままでいいんだ」という安心感をもたらしてくれる本でした。本なんて金を惜しまず買ったって破産するほどの金額にはなりません。(特殊な希少本をコレクションし始めたら破産するかもしれませんが)

この1年で100冊の書評を書くことを目標に更新します!

 

評価:★★★(5段階評価)

 

 

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幸福の資本論」橘玲

超リアリストで金融小説や資産運用系の著作で知られる橘玲さん。今回は「幸福」というなかなか万人に通用する定義づけの難しそうなテーマに挑みます。


幸福の3つのインフラ「金融資産」「人的資本」「社会資本」


まず、幸福の3つのインフラとして「金融資産」と「人的資本」と「社会資本」があると言います。
「金融資産」は株や土地も含めて要するにお金のことです。これは「自由」を手に入れるために必要です。お金があることで住む場所も着る服も食べるものも乗る車も選ぶ「自由」が手に入ります。
「人的資本」は仕事のことです。能力を活かしてお金を稼ぐ力といってもいいかもしれません。その力を発揮することで人は「自己実現」できるようになります。
「社会資本」は家族や友人等の人間関係です。自分が生きる共同体のメンバーとの絆を感じながら生きることが幸せにつながる。
そしてこの3つのインフラを全て満たすのは至難の技ではあるけれど、このうちの2つ満たせて入れば人は生きていける、と。


人生のパターン


この定義に沿って人生のパターンを説明しています。
プア充:金融資産×、人的資本×、社会資本○
貧困:金融資産×、人的資本×、社会資本×
リア充:金融資産×、人的資本○、社会資本○l
超充:金融資産○、人的資本○、社会資本○
お金持ち(投資家/トレーダー):金融資産○、人的資本○、社会資本○
旦那;金融資産○、人的資本×、社会資本○
退職者:金融資産○、人的資本×、社会資本×
ソロ充:金融資産×、人的資本×、社会資本○

はたして自分を今の状態をこの指標で評価しようとするとどの程度だろうと考えてしまいます。

 

幸福な人生への最適戦略

結局一番人が知りたいのはこれでしょう。
筆者は下記の3つに要約できると言います。

①金融資産 
 経済的独立を実現すれば、金銭的な不安から解放され、自由な人生を手にすることができる。→金融資産は分散投資する。

②人的資本
子供の頃からのキャラを天職とすることで、「ほんとうの自分」として自己実現できる。→人的資本は好きなことに集中投資する。

③社会資本
政治空間から貨幣空間に移ることで人間関係を選択できるようになる。→社会資本は小さな愛情空間と大きな貨幣空間に分散する。


①はまぁ、そりゃそうだろうという感じです。具体的にはインデックスファンドにでも積立投資して世界にリスクを分散させればできそうです。

②は「これからの世界の動向を読んで戦略的に職業を選べ」とでも言われると思っていたら意外な答えです。でも、ホリエモンも好きなことを徹底してやるのが一番の戦略だというようなことを言っています。

③は濃い人間関係はコンパクトに保ちつつ、特定のコミュニティに絞らず広くゆるいつながりを持っておくことが大事だということのようです。サラリーマンだと、会社以外の人間関係も持っておかないと退職したらゼロだぞということでしょう。

 

なるほどねぇ。

 

評価:★★★★(5段階評価)

 

 

 

「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」山口周

「なぜ○○は○○なのか?」っていうタイトルの本、多いですね。疑問を投げかけられると答えを知りたくなって本を手に取ってしまう→売れる っていうことなんでしょうか。

論理的・理性的な情報処理スキルの限界

世界トップクラスのアート・デザイン系の大学院大学であるイギリスのロイヤルカレッジオブアートが近年グローバル企業の幹部トレーニングで注目されているといいます。また、ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのテートギャラリーなのでも社会人向けのギャラリートークのプログラムにビジネスマンの参加が増えているといいます。

それはこれまでMBAコンサルティング業界を席巻していた論理的・理性的な情報処理スキル(サイエンス)だけではこの複雑化した世界で、かつ消費がより感性的、ファンション的に行われるようになった市場で、戦っていけないという危機感の現れだと。

ロジカルシンキングの総本山といった感のあるあのマッキンゼーがデザイン会社を買収したことも同じ動機によるというのが著者の見立てです。

美意識のあるアップル、美意識のないオウム真理教

経営にアート・デザイン思考のある代表格といえばアップルでしょう。マーケティングで積み上げた要望を満たすように最大公約数的なモノづくりをするのではなく、ジョブズの美意識に基づいて徹底的に削ぎ落とし、洗練されたプロダクト。ユーザーはその美意識に感化され、ファンになり、ものを買う。それはロジカルシンキングの積み重ねだけでは生まれてこないジャンプです。グーグル、エア・ビー・アンドビー、テスラ、ダイソン、等、今勢いのある企業はある美意識・哲学に基づいて発信を行う企業ばかりです。

一方で美意識の欠如したエリート集団の代表として著者が挙げたのがオウム真理教でした。複雑怪奇な現実社会に適応できないエリートが、受験勉強に似た単純明快なステップアップのすごろくを新興宗教に提示され、飛びつき、ロジカルシンキングを妙な方向に回転させました。そこに美意識や哲学はありません。その証拠がプレハブのようなルックスのサティアンであると言います。

アートの勉強をすれば済む話なのか

ロジカルシンキングの限界は理解できます。ある種の美意識を持って、分析的な思考ではなく統合する思考。クリエイティブな思考。多数決ではなく、時にトップダウンを辞さない意思決定システム。そういったものが必要だということは理解できます。

だた、企業の幹部にまで上り詰める年齢になって、今更絵の見方を習ったりしたところでそういった思考が身につくんだろうかという疑問があります。人が作ったゲームで高得点を取るのではなく、自分でゲームを作ってしまうような発想は、なるべく若いうちに、それこそ10代くらいで「自分で作る」「自分で絵を描く」「自分で曲を作る」というような体験をたくさん積み重ねて「体得」するのが一番だという気がします。ロジカルシンキングが骨の髄まで染み込んだおじさん達はロイヤルカレッジオブアートで習ったことを「正解」だと思って一生懸命記憶して、左脳でロジカルに理解してしまいそうです。ロイヤルカレッジオブアートで行われているビジネスマン向けの授業がどれだけアウトプットをさせることに力を入れているかが気になるところです。

 

美術や音楽は受験には役に立たない教科として軽視されてきました。そんな教科ばっかり好きだった私ですが、そんなに間違ってなかったのかもしれないと正当化されたような気もする本でした。

 

評価;★★★(5段階評価)

 

 

 

 

「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」若林正恭

文才のあるお笑い芸人は又吉だけじゃない

オードリーの若林さんのキューバ旅行記です。前作「社会人大学人見知り学部卒業見込」の頃からすると1人でキューバ旅行をするまでに外向的になったのかと半ばその変化に驚きつつこの本を手に取りました。日本のお笑いはガラパゴス的にすごい進化を遂げていて、そのトップクラスで活躍する人の言語能力たるや凄いことになっていると思います。オードリーのラジオなんかを聴いていても若林さんの自身も含めてちょっとシニカルに笑う感じのトークが魅力的です。本作も主観と客観を激しく行き来する視点が魅力的な旅行記でした。

新自由主義からの逃避と受容の物語

旅行記は新自由主義への違和感や疲れからスタートします。なんと世の中のことを知るために東大生を家庭教師に雇って勉強しているという若林さん。新自由主義という言葉に出会います。資本主義に任せた競争が世界を進歩させる。勝つか負けるか弱肉強食の世界。自分はそのレースを追い立てられるように走っていることへの自覚。でもその競争に疲れたという感覚。競争の残酷さにうんざりする感覚。

かつてその競争から解放された理想郷を思い描いた人たちがいました。社会主義者たちです。競争のない平等な社会。その壮大な実験の大半は失敗に終わったとされています。世界シェアで言えば新自由主義陣営の圧勝という状態です。「新自由主義ってなんなんだろう」ということを外側から見ようと思ったら社会主義国家に行って外側から見てみるしかない。

そうして若林さんはキューバに旅立ちます。

キューバに行くなら今しかない

数年前にアメリカとの国交を再開し、カストロも亡き今、キューバはすごい勢いでアメリカナイズされつつあると想像します。町中を走るクラシックカーもそのうち観光用のタクシーだけになって、みんな電気自動車に乗り換えてしまうかもしれません。ピュアな社会疑義国家の夢の残り香が漂ううちに私もキューバに早く行って見たいと思っています。

父との対話

旅のエンディングは若林さんとお父さんとの対話です。新自由主義にも違和感を感じるし、キューバを旅して社会主義の限界も見て、たどり着いたものは。。。

 

良い旅行記を読むと旅行に行きたくなりますね。

 

評価;★★★★(5段階評価)

 

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

 

 

 

「筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方」Testrterone

マッチョ社長Teststeroneが説く栄養学

マッチョ社長でおなじみのTeststeroneさんによる食事にフォーカスした本です。元々ツイッターが面白かったのでフォローするようになり、「筋トレが最強のソリューションである」という本も面白かったので買ってみました。

 

Testsreroneさんの著作の魅力

テストステロンさんの本の魅力はシンプルで分かりやすくユーモアが溢れていてかつ内容は正攻法で誠実というところだと思います。「これさえやればOK」「これだけ食べればOK」というようにキャッチーで安易なダイエット法やトレーニング法が巷に溢れる中、「そんな楽な方法はない」と言った上で、いかに筋トレが人生にプラスになるかということをひたすら主張されています。私も数年前からジムで筋トレをするようになりましたが、心身共にコンディションは良くなり、その効果を実感しています。

マクロ管理法

この本で推奨されている食事法はマクロ管理法と呼ばれるものです。①タンパク質、②脂質、③炭水化物の適正摂取量を性別、身長、体重、年齢から計算式によって割り出し、それに基づいて摂取するというもの。ごくごくオーソドックスな方法です。個人的にはこれまで食べるもののカロリーや栄養素の数値を具体的に意識しながら飲み食いしたことがないので、まずそれを知らなければこの方法は実践できません。この本によると最近は「カロリーSlim」などのWEBサービスで様々な食事の栄養素を確認できるサービスがあるようです。一度試してみよう思います。

筋トレで身を守る

私がいる建築設計業界はこれまで絵に描いたような長時間労働の業界でした。徹夜や休日出勤は日常茶飯事。それはもう大学の建築学科からそういうカルチャーで育っているので、半ば自嘲気味にそんな労働スタイルを受け入れていました。大規模物件の建設には数百億円が動きます。それをコントロールする設計の精神的なプレッシャーも結構なものです。私の身の回りでも心身を病んで休職したり、退職したり、中には自殺してしまった人もいます。自分もこんな働き方で何十年もやっていけるんだろうかと思っていました。

ここ数年、働きかた改革が叫ばれるようになり、建築設計業界の風向きも変わってきました。欧米の設計事務所は元々夜になるとさっさと仕事を切り上げ、家族と過ごす時間を持つスタイルでした。ようやく日本もそちらの方向性に舵を切った感じです。

自分の身は自分で守る。適正な睡眠時間を確保し、筋トレをし、健康な食事をし、仕事中は集中して仕事をする。

Teststeroneさんは企業の経営者でもあり、単なる筋トレマニアではないからこその説得力です。これは仕事も含めたライフスタイルの問題です。

トレーニングをする建築家

安藤忠雄さんはボクサー時代から毎日のトレーニングを欠かさないといいます。レムコールハースやジャンヌーベルは毎日のようにプールで泳ぐといいます。建築家はいわゆる高齢者と呼ばれる年齢になってからが本番の仕事です。歳をとってからもバリバリ働ける体は必須条件です。私も体が動く限りトレーニングを続けようと思っています。

 

字も大きく、サラッと読めます。

あとは実践あるのみ!

 

評価;★★★★(5段階評価) 

筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方

筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方

 

 

 

筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法

筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法

 

 

「サピエンス全史」ユヴァル・ノア・ハラリ

タイトルに偽りなし

若きイスラエル人歴史家による、その名の通り我々サピエンスの全史です。なぜ世界史でも人類史でもなくサピエンス全史なのか、読んでみて分かりました。この歴史書は我々を「サピエンス」という哺乳類の一種であると科学的な視点で位置付けた上で、その生物がどう他の動物と違うのか、そしてここまでの発展を遂げたのかを様々な学問分野を軽々と横断しながら解き明かしたものです。

 

しびれる冒頭文

冒頭の文章でまずしびれました。

 

 ”今からおよそ135億年前、いわゆる「ビッグバン」によって、物質、エネルギー、時間、空間が誕生した。私たちの宇宙の根本をなすこれらの要素の物語を「物理学」という。
  物質とエネルギーは、この世に現れてから30万年ほど後に融合し始め、原子と呼ばれる複雑な構造体を成し、やがてその原子が融合して分子ができた。原子と分子とそれらの相互作用の物語を「化学」という。
 およそ38億年前、地球と呼ばれる惑星の上で特定の分子が結合し、格別大きく入り組んだ構造体を成し、すなわち有機体(生物)を形作った。有機体の物語を「生物学」という。
 そしておよそ7万年前、ホモ・サピエンスという種に属する生き物が、なおさら精巧な構造体、すなわち文化を形成し始めた。そうした人間文化のその後の発展を「歴史」という。”

 

こんなに鮮やかな学問分野の解説を初めて見た気がします。こんな授業を高校時代ぐらいに聞いていたらもっといろんな科目を有機的に関連付けて考えられたかもしれません。

 

虚構の力

著者はサピエンスがここまで社会的な生物として発展できたのは「虚構」を描き、共有することができたからだと言います。国家も資本主義も宗教も倫理も全てサピエンスの脳内で描かれた「虚構」でしかない。ただ、その虚構を描ける能力があったからこそ認知革命、農業革命、科学革命を起こし得た。目から鱗です。

虚構だから唯一の正解はなく、必要に応じて書き換えられていくのだと思うと、明治維新で急に欧米化した日本人の変わり身も、ビットコインのような根も葉もない新貨幣システムが急に市民権を得ていくのも納得できます。だからあまり自分たちが考える正義や倫理観も虚構に過ぎないものとして相対化できる視点を持つべきだと思いました。どこかで虚構に過ぎないと思っていないと、他の宗教が許せなくなったり、借金苦で自殺してしまったりするのではないかと。

 

数々のランキングで1位を獲得するのも納得の名著です。

 

評価;★★★★★(5段愛評価)

 

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 
サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

 

 

 

 

 

「世界一訪れたい日本のつくりかた」デービッド・アトキンソン

見事なロジカルシンキング

デービッド・アトキンソンさんの著作は「新・観光立国論」や「新・所得倍増論」等も大変面白かったので、この新作も手に取りました。

どの著作もそうなのですが、とにかくロジカル。徹底的にデータを集め、その因果関係を分析した語り口で説得力があります。そして日本人だと当たり前だと思い込んでいる固定観念に囚われていないので、ハッとする鋭い突っ込みによって日本の輪郭があぶり出されていきます。

 

観光立国への施策

本書は特に「観光」にフォーカスし、観光立国論への戦略を具体的に語ったものです。ざっと主張をまとめると以下の通りです。

①日本は観光立国としてのポテンシャルを十分持っているが活かしきれていない
②アジアの集客は出来てきたので、これからは客単価の高い欧米系の観光客を呼ぶべき
③大量消費を前提とした昭和の観光から脱却し、より世界レベルのサービスを提供すべき
④日本人が思う以上に「自然」を活かした観光が求められているし、その方が儲かる
⑤宣伝がヘタ。特に宣伝に用いる言葉のチェックが杜撰(広告代理店に丸投げしていてはいけない)
⑥5つ星ホテルが足りない。カジノを併せ持つIRを整備すべし。
⑦文化・スポーツ・観光省を作るべし

建築やまちづくりとの関連

実際に読んでみると分かりますが、論の運びがロジカルなので説得力があります。建築に引きつけて考えると、これから求められるのは欧米の富裕層に長期滞在してもらえる5つ星ホテルレベルの超高級ホテルを自然の楽しめる立地に設計できる建築家だとも考えられます。(そう考えると隈さんの立ち位置は絶妙です)

まちづくりという視点から考えても地方に超高級ホテルが出来て欧米系の富裕層が長期滞在するようになればそのための食材を用意する人、アテンドする人、自然をガイドする人、アスレチックのインストラクター、料理人、ドライバー、エステティシャン、等新たな雇用が生まれて効果が期待できそうです。文化財は貴重な集客装置なので、その維持管理にもお金が使え、古い街並みが残せるかもしれません。

こんな人に政府の要職について欲しいなと思っていたら、すでに政府のいろいろな委員を務められているようです。

日本について右肩下がりのグラフばかり見慣れてしまった昨今、珍しく右肩上がりの成長グラフを見せてくれる観光にはもっと進化して欲しいと思わせられる本でした。

 

評価;★★★★★(5段階評価)