とあるリーマン建築家の書評ブログ

建築、デザイン、アート、ビジネスなどを中心に興味の赴くままに読んだ本を不定期でご紹介します。

「世界を動かす巨人たち〈経済人編〉池上彰

池上さんが持ち前のわかりやすい語り口で世界を動かす経営者たちを紹介した本です。紹介する経営者たちはこちら。

ジャック・マー(中国の楽天、「アリババ」の経営者)
ルパートマードックウォール・ストリートジャーナルを買収したメディア王)
ウォーレンバフェット(「オマハの賢人」と呼ばれる世界一の投資家)
ビル・ゲイツマイクロソフト創業者、現在は慈善事業に注力)
ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)
ドナルド・トランプ(不動産王にしてアメリカ大統領)
マーク・サッカーバーグ(フェイスブック創業者)
ラリー・ペイジ、セルゲイ・ミハイロビッチ・ブリン(グーグル創業者)
コーク兄弟(巨大エネルギー企業コークインダストリーズ経営者)

ジャック・マー、ビル・ゲイツ、ベゾス、ザッカーバーグ、ラリーペイジらはいずれもITで世界を変えた経営者です。共通しているのはとにかくそのスピード感と行動力。チャンスと見れば大学をも中退し、事業を起こし、走りながら考える。気づけば日本はネットの世界で完全に立ち遅れ、彼らが構築したシステムに支配されてしまっています。

私もマイクロソフトやアップルが作ったOSを使い、グーグルを使ってネットを閲覧し、アマゾンで本を買い、ブログを書き、フェイスブックで紹介したりしています。全部彼らの掌の上です。考えて見ると恐ろしいくらいです。

日本はものの考え方を変えないとこの先とても戦えないと思いました。過剰な平等主義や行き過ぎたリスク回避の思考。会議会議で一見民主主義的な意思決定に見せかけた、遅く、だれも責任を取らない意思決定。リスク回避を重視するくせに決定の遅さそのものがもたらすリスクに対する認識不足。教育から変えないと、彼らのようなリーダーは生まれてこないように思います。

 

一方でマードック、トランプ、コーク兄弟ら、どちらかというと古い業界の経営者には手厳しい書き方をしています。金のためなら手段を選ばないタイプです。

最も尊敬を込めて書かれているのはバフェット。大富豪になってからも慎ましやかな生活を変えず、ビルゲイツと共に慈善事業に力を入れています。

 

世界を代表する経営者を知る入門書としては最適だと思います。巻末に主要参考文献として各経営者について書かれた本も紹介されているので、特に興味を持った経営者をさらに掘り下げていくのも良いと思います。

 

評価:★★★★(5段階評価)

 

世界を動かす巨人たち <経済人編> (集英社新書)

世界を動かす巨人たち <経済人編> (集英社新書)