とあるリーマン建築家の書評ブログ

建築、デザイン、アート、ビジネスなどを中心に興味の赴くままに読んだ本を不定期でご紹介します。

「3年後に結果を出すための最速成長」赤羽雄二

マッキンゼー出身のビジネスコンサルタントによるビジネス新書

マッキンゼー出身のビジネスコンサルタントが書いたこれからの時代の変化とその中でビジネスマンがいかにサバイバルするかをまとめた本です。

時代の変化についてはAIの進化やブロックチェーンの普及で労働環境が代わり、奪われる仕事がたくさん出てくるから注意せよ、ということが書いてあります。どのようにサバイバルするかについては、成長力が必要だとか、リーダーシップが必要だとか、コーチングが大事だとか、そんなようなことが書いてあります。

ちょっと厳しく言うとどれも最近メディアで盛んに言われていることを総花的にまとめた幕の内弁当的な新書と言えるかもしれません。正直、さほど目新しさは感じませんでした。

AIによる社会の変化

ただ、AIで世の中がどう変わるのかには個人的にも大変興味があります。拒否反応を示す人たちがこれからたくさん出てくると思いますが、こういう流れは泣こうがわめこうがまず止まりません。AI導入で仕事を奪われる人たちのデモもそのうち起きそうですが、かつて産業革命時代にイギリスで機械に仕事を奪われる危機感から機械を壊して回ったラダイト運動と全く同じ構図です。反対運動を起こす暇があったらさっさと別の仕事を探した方が良い。機械で奪われた仕事もたくさんあるでしょうが、逆に生まれた仕事もたくさんあるからです。

 

AIで建築界はどう変わるか(私見)

建築設計でAIの導入を想像してみると、例えば設計中の建物の法規チェックなんかはAIでできそうな気がします。建築基準法を満足していない箇所があればアラートが出る。「2階で避難距離を7mオーバーしている箇所があります。この範囲に1箇所階段を追加設置してください」とコンピューターがアドバイスしてくれる。

斜線制限内で床面積を最大化するプランを作ってくれ、というような定量化しやすい要望であればAIでプランを作れる気がします。

コンペの審査員の名前を入力すると、過去の審査の結果や、審査員の作風などの膨大なビッグデータやそれらの審査員に受けるデザインや重視すべきポイントをアドバイスしてくれるかもしれません。

定量化しやすい性能の追及では段々差別化が難しくなるとすると、建築家の勝負所は、「何を快適とするか」「何を美しいとするか」と言った考え方や建築哲学みたいなことになっていきそうです。

さらにAIが進化すると、安藤忠雄AIとかレムコールハースAIとかが出てきて、巨匠だったらこう考えるという思考パターンをAIが再現して自動設計してしまうかもしれません。そうなるともう人間の仕事は無くなってしまうかもしれませんが。。。

 

評価;★★★(五段階評価)

 

 

3年後に結果を出すための最速成長 (ベスト新書)

3年後に結果を出すための最速成長 (ベスト新書)