「バベる 自力でビルを建てる男」岡啓輔
自力でビルを建てる男
港区三田にセルフビルドで今も建設が続けられる一風変わった鉄筋コンクリートの住宅「蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)」を作っている岡啓輔氏の自伝的作品です。
世界にもたまにセルフビルドに憑りつかれた人がいる
歴史上、たまにすごい建築を何かにとりつかれたように自分一人で作ってしまう人が出てきます。郵便配達員シュヴァルの理想宮(フランス)、ネック・チャンドのロック・ガーデン(インド)、サイモン・ロディアのワッツタワー(アメリカ)等々。どれもその作品には独特の迫力があります。
そして日本には岡さんがいる
そして日本にもまさに今、何かにとりつかれたように自ら設計し、コンクリートをこね、自分の家を東京のど真ん中に立てている人がいます。それが岡さん。私も一度前を通ったこともありますが、日々街中にものすごいスピードで建設されていく建築物のコンクリートとは違う、手作りの迫力に満ち溢れていました。
熱い男
この本では岡さんが建築を志し、住宅設計に携わり、職人になり、踊りに熱中し、セルフビルドに憑りつかれて行く半生が描かれていますが、とにかく熱い。日々実務に追われていると、どうしても「大人な」判断をしがちだし、内的衝動を推進力にここまで突っ走るのには相当なパワーがいります。
作る喜びとか、衝動とか、学生時代に最初に建築に飛び込んだ時のあの感じを忘れちゃいかんよなと思わされる本でした。
評価:★★★★(五段階評価)