とあるリーマン建築家の書評ブログ

建築、デザイン、アート、ビジネスなどを中心に興味の赴くままに読んだ本を不定期でご紹介します。

「働き方 完全無双」ひろゆき

2ちゃんねるでおなじみの「ひろゆき」氏の新作です。まず、日本が経済的にどんどん苦しい状態になっていき、稼げる人と稼げない人の二極化が進むということを前提とし、そんな中どうサバイバルしていくかということを考えた本です。

「新しいこと」にはとにかく首をつっこんどけ

youtubeでもインスタでも最初にやり始めて、続けた人は「そこにたまたまいる」というだけで突然ゲタを履ける時期がある、といいます。だから「無料ツール」はどんどんやらなきゃ損だし、ワンチャンを掴む可能性が高まります。また、会社を持っておくことのメリットも語っています。自分の会社で「著述業」をやっているということにすれば、旅行だろうが何だろうが全部経費で落とすことができるので、節税にも有効です。この、個人が会社を作ってしまうことのメリットは橘玲さんも早くから指摘していました。今後、副業が一般化していくと、かなりリアリティの増してくる考え方のような気がします。

てっとり早く能力以外の部分で「レア」になれ

また、著者はまず、1000万円貯めて「イヤだったらいつでも辞めてやる」というマインドが手に入るといいます。また、「体力のある人」「動物的に強い人」は仕事でも有利に働くことが多いといいます。それはパフォーマンスの向上だったり、交渉時の相手に与える印象の変化であったり。そして声でも見た目でも人に覚えてもらえる記号が大事だといいます。そういえばこの間読んだ成毛眞さんの本でも、成毛さんは人に覚えてもらえるようにちょっと変わった眼鏡とアロハをトレードマークにしていると言っていました。建築家でもコルビュジエの眼鏡&蝶ネクタイ、手塚夫妻の赤と青のシャツ等々、トレードマークを自分の見た目にも設けている人がいますね。

サラ金の数が減った理由

これはこの本を読んで初めて知ったのですが、サラ金の数が減ったのはサラ金を訴えてお金を取る「弁護士」が増えたから、なのだそうです。ア〇ィーレ法律事務所とかそういうやつですね。数が増えて食えない弁護士が増える中でみつけた飯のタネ。ひろゆき氏は今後、彼らのターゲットがブラック企業に向かえば、ブラック企業の撲滅につながるのではと言っています。「ブラック企業を訴えて、残業代を100万円、とり戻ました!」というようなCMをどんどん流せばいい、と。ただし、そうやってブラック企業がだんだん減っていくと最終的にはしわ寄せはフリーランスの個人に行って、そこがブラック化するだろうと言っています。だから個人はそこから身を守るすべを身に着ける必要があります。独立した建築家もそうなんでしょうね。

若者よ、「ベーシックインカム」を前提に生きよ

ひろゆき氏は月7万円くらいのベーシックインカムは実現するといいます。高齢者がガンの治療に2000万の薬代を国からもらえる日本。でも、その2000万を若いうちにもらえれば人生そのものが豊かになるのではという考え方です。これ、逆に言うとベーシックインカムをうまく使えない人(例えばすぐギャンブルで使ってしまうとか)は、歳とってから相当苦労するだろうな、という自己責任の側面の強い制度のような気がします。職業選択の流動性が高まるというメリットは確かにありそうです。

結局オイシイ業界は「観光」だけになりそうです。

キューバは半ば鎖国のような状態が続いていたがためにレトロな街並みや車が観光の目玉となって、いまや観光で稼ぐ国になっています。(私も早く行ってみたい国の一つです)。ひろゆき氏は日本もそこを目指せばいいといいます。それでだらだら稼いでりゃいいじゃないかと。個人的には「みんなでダラダラ」を目指す方向性に日本がかじを切るのはあまり現実的ではない気がしますが、観光が稼ぎ頭になっていくというのは、デービッド・アトキンソンさんの一連の著作を読んでも説得力のあるシナリオのような気がします。

なかなか面白い本ですよ。

評価:★★★★(5段階評価)

 

働き方 完全無双

働き方 完全無双