とあるリーマン建築家の書評ブログ

建築、デザイン、アート、ビジネスなどを中心に興味の赴くままに読んだ本を不定期でご紹介します。

「お金は寝かせて増やしなさい」水瀬ケンイチ

最強のインデックスブロガー

インデックス投資ブロガーとして有名な水瀬ケンイチさんの著書です。水瀬さんのブログサイト「梅屋敷商店街のランダムウォーカー」は私もよく参考にしているサイトで、その見識の確かさと、どの金融機関にも所属しないブロガーならではの公平な視点が魅力です。個人的には最強のインデックスブロガーだと思っています。

インデックス投資とは世界経済の長期的な成長に賭ける投資法

インデックス投資とはTOPIXのような経済指数(インデックス)に連動して機械的分散投資を行うインデックスファンド(投資信託)で世界分散投資を長期にわたって継続的に行う投資手法です。

インデックス投資は世界に自分のお金を分散投資するので、個別株のように突然2倍に跳ね上がるとか、逆に一夜にして暴落して紙切れになるということがありません。その代わり、世界の経済に連動します。だからリーマンショックのようなことがあると試算はそれに合わせて減少してしまいます。ただし、長期的には世界経済はおおよそ3パーセントくらいずつ成長し続けています。インデックス投資はこの世界経済の長期的な成長に対する信頼をベースとしています。

インデックス投資(パッシブファンド)VSアクティブファンド

この投資法(パッシブファンド)は優秀なファンドマネージャーたちがその「専門知識」を活かして伸びそうな会社の株を買って運用してくれるパッシブファンドと比べてどうか。なんと70~80%のアクティブファンドはパッシブファンドに負けているのです。それはパッシブファンドの手数料の安さによります。パッシブファンドを売りたい人にとっては不都合な真実ですが、これは研究の結果ほぼ間違いない真実です。

バイブル「ウォール街のランダムウォーカー」

「結局インデックスファンドを長期的にコツコツ積み立てるのが一番」というこのインデックス投資の理論の総本山は、本書でも紹介されているバートン・マルキールの「ウォール街のランダムウォーカー」という名著です。私も読んでみましたが、水瀬さんの本を読んで興味を持った人にはぜひ一読をお勧めします。

大事なのはブレないこと

インデックス投資で重要なのはコツコツ続けることで、そのためには心の底からこの手法を理解し、信頼し、ブレないことです。本書でもブレないためのコツがいろいろ開陳されていますが、水瀬さんもインデックス投資を始めてから本当にブレていないことに驚きます。ブログでも常に愚直に、冷静に、決めたことを淡々と続けられている様子がうかがえます。

ドルコスト平均法、リバランス、あとはほったらかし

生活防衛資金を確保したうえで、残りの資産を先進国株、日本株新興国株のインデックスファンドと国債にあるバランス(アセットアロケーション)で振り分ける。その割合で毎月一定額インデックスファンドを同じ金額だけ買い続ける(ドルコスト平均法)。年に一度それを最初に決めたバランスに微調整しなおす(リバランス)。あとはほったらかし。それだけです。

注目は第5章「涙と苦労のインデックス投資家15年実践記」

注目は第5章「涙と苦労のインデックス投資家15年実践記」です。リーマンショックギリシャショック、東日本大震災など世界経済のピンチを乗り越えてひたすらインデックス投資を続けた水瀬さん。なんと15年で積み立て元本は150%に増えたそうです。具体的には4000万円の元本が6000万円に増えています。具体的な金額はブログでも紹介されていなかったので元本の大きさも含めて驚きでした。私も10年早く知りたかった!

あのウォーレンバフェットでさえ、子孫にはインデックス投資を勧めています。インデックス投資の入門書としても、経験者が自分のスタンスを再確認する上でも超おすすめの一冊です。

 

評価:★★★★★(5段階評価)

 

お金は寝かせて増やしなさい

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