とあるリーマン建築家の書評ブログ

建築、デザイン、アート、ビジネスなどを中心に興味の赴くままに読んだ本を不定期でご紹介します。

「一生、同じ会社で働きますか?」山崎元

転職について考えさせられることの多い最近
経済評論家、山崎元さんの著書です。山崎さんは資産運用の専門家で、私も資産運用の基本的な考え方は大いに参考にさせてもらっている方の一人です。最近、会社で年齢の近い先輩達が相次いで会社を辞め、独立したり、転職したりということが続きました。また、自分のところにも転職エージェントと呼ばれる人からアプローチがあったりと、自分の今後のキャリアは必ずしも今の会社で設計を続けるだけではないのかもしれないと考えるようになりました。といっても今のところ設計を辞めるつもりも、転職するつもりもないのですが、年齢的にもここらへんで自分の立ち位置を一度俯瞰で見てみるのもよいかもしれない、そんな気分です。

転職12回を経験した著者が考える転職のメリット
さて、山崎さんは金融業界でなんと12回も転職しています。山崎さんは転職のメリットとして「会社との距離感がわかるようになる」「友達が増える」を挙げています。また、転職に当たってはその転職が「時間」「お金」「自由」のどれを目指したものかを意識すべきだといいます。

建築設計の分野に引き付けて考えると、独立すれば時間や自由は手に入りますが、お金を手に入れるのは至難の業です。PM・CMの会社に転職すればお金は手に入ると思いますが、自由や設計する楽しさは失う気がします。

転職35歳限界説!?
転職には35歳限界説があるといいます。35歳を過ぎると転職が不利になるということのようです。これについては山崎氏も確かに「傾向としては35歳程度までが転職に有利なのは間違いない」「同じスキルならより若いほうが価値が高い」「仕事ができる出来ないの評価は35歳くらいまでに固まっている」「30代前半で能力はピークに達する」ということを述べています。この理屈で行くと、私はいま38歳なので、転職するならもう決断しないといけないくらいの年齢だし、もう仕事の能力は完成していないといけないことになります。(とてもそんな自信はありませんが、そこは建築業界と金融業界の性質の違いもあるような気がします。建築の設計技術の習熟にはものずごく時間がかかるし、30代はまだ若手扱いです)

転職の基本は「猿の綱渡り」
転職をする時には「次の会社への入社を確実にしてから、現在の会社に退社の意向を伝える」ことが重要だといいます。やめてからの転職活動は空白期間が生じてしまう上、年収の交渉も不利になるので、やめたほうが良いようです。そして基本的に自分ひとり絵決断を下す。相談をするなら会社の同僚ではなく、別の会社の人に相談したほうが良い。

働くを楽しむための5か条
本書の最後には働くを楽しむための5か条が示されています。

第1条 価値観に反する仕事をしない

第2条 自分のお金にはこだわるが、他人のお金は気にしない

第3条 大きな声で誰にでも同じことを言え

第4条 会社を取引先、同僚をお客様と思う

第5条 「学ぶ楽しみ」「教える喜び」を感じる。

転職しようとしまいと、仕事をする人間として参考になる点の多い本です。

 

評価:★★★★(5段階評価)

 

一生、同じ会社で働きますか?

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