とあるリーマン建築家の書評ブログ

建築、デザイン、アート、ビジネスなどを中心に興味の赴くままに読んだ本を不定期でご紹介します。

「子育てしながら建築を仕事にする」成瀬友梨 編著

アトリエ事務所から組織設計事務所、ハウスメーカー等で建築設計を仕事をしている執筆陣がどうやって子育てとの両立を図っているかをまとめた本です。 こんな建築本が出る時代になったか 本のタイトルを見たときに「こんな本が出る時代になったかぁ」とちょ…

「ユニクロ潜入一年」横田増生

渾身のルポ ユニクロの実態に迫るためになんと1年以上ユニクロで実際に働くという渾身のルポタージュです。 物語は2011年に「ユニクロ帝国の光と影」という本を出版した著者が、合法的に名前を変えてユニクロに勤め取材を続けるも、2016年末に文春に書いた記…

「専業主婦は2億円損をする」橘玲

日本人の10人のうち6人は専業主婦になって2億円を放棄している!?大学を出た女性が60歳まで働いたとして、平均的な収入の合計は2億1800万円だそうです。ところが日本人の10人のうち6人は専業主婦になってこの収入を放棄してしまっています。共働きをすれば…

「社長の「まわり」の仕事術」上坂徹

読者の多くは社長の「まわり」の人たち 社長や起業家について書かれた本は数知れず。ただ、読者の大半は社長でも起業家でもなく、その周囲を固めているスタッフであったりすることが多いのだから、社長の「まわり」の人が社長をどう支えているかを伝えるのも…

「丹下健三ディテールの思考」豊川斎赫

技術やディテールから丹下健三に迫った作品 豊川さんの著書をこのブログで取り上げるのは二冊目。もちろん丹下さんの本です。 取り上げられる建物は広島平和記念公園から赤坂プリンスホテルに至るまで全14作品。それらの歴史的な名作で、技術的なハードルを…

「昭和天皇物語」能條純一

武田鉄矢絶賛 ある日「ワイドナショー」を観ていたら、武田鉄矢さんが絶賛していたので、よっぽど面白いんだろうと買ってみました。確かにこれは面白かったです。原作・半藤一利、脚本・永福一成、監修・志和秀宇というように時代考証もばっちりやっていそう…

「遺言」養老孟司

船中で書かれた著作 いわずと知れた養老先生の新書です。実は養老先生の本はここしばらく口述筆記ばかりで、自分で直接書いた本はかなり久しぶりだったようです。本を書いたその理由がまたかっこいい。「奥さんとその友人とカナリア諸島へいく船旅へお付き合…

「デザインの小骨話」山中俊治

ツイッターでのつぶやきがベースになった珠玉のコラム 東大教授にしてデザインエンジニアの山中俊治さんのエッセイ集です。前書「デザインの骨格」も大変面白かったので、書店であまり迷わずに手に取りました。もともとはsツイッターでのデザインに関するつ…

「「賢くお金を使う人」がやっていること」大江英樹

日常生活で、行動経済学の観点から見て「これを知っておけばちょっと失敗を防げるのに」というような知識を優しい言葉でわかりやすくまとめた本です。 例えば「なぜ、映画館では途中で席を立つ人はいないのか」。映画は始まって30分も観ていれば面白いかど…

「本気になって何が悪い」唐池恒二

JR九州会長の武勇伝 ずばりこれはJR九州の会長の武勇伝です(笑)今は他の鉄道会社もデザイン性の高い列車を運行するようになりましたが、そもそもやり始めたのはJR九州。デザイナー水戸岡鋭治さんとのタッグはまさに理想的なパトロンとデザイナーの関係です…

「アマゾンが描く2022年の世界」田中道昭

生活を支配しつつあるアマゾン ちょっと怖いくらいに便利で、安く、生活のあらゆる分野に触手を伸ばしつつあるアマゾン。最初はネット書店だったのがいつの間にか僕は本だけではなく色んなものアマゾンで買うようになりました。僕もアマゾンプライム会員にな…

「変な経営論」澤田秀雄

変な経営者 ハウステンボス社長にしてHISの社長兼会長の澤田秀雄さんのインタビューをまとめた新書です。最近ではロボットがサービスを行う「変なホテル」でも知られています。さらに今年の3月から3か月~半年間世界中を一人旅するという。とにかく次から次…

「一生、同じ会社で働きますか?」山崎元

転職について考えさせられることの多い最近経済評論家、山崎元さんの著書です。山崎さんは資産運用の専門家で、私も資産運用の基本的な考え方は大いに参考にさせてもらっている方の一人です。最近、会社で年齢の近い先輩達が相次いで会社を辞め、独立したり…

「なぜ中国人は財布を持たないのか」中島恵

中国に詳しいフリージャーナリストの中島恵氏の新書です。 今年出張で見たシェアサイクルだらけの中国・厦門先日仕事で中国の青島と厦門に行ってきました。どちらも行くたびに新しい住宅や超高層のオフィスビルが次々に建設されていて、中国経済の勢いを感じ…

「妊娠出産ホンマの話」荻田和秀

我が家に来年第一子が誕生する見込みなこともあり、手に取った本です。丁度ドラマでやっている「コウノドリ」のモデルにもなった大阪の産科医にしてジャズピアニストの荻田和秀さんの著書です。 第一章 父親になるって「自分、どないやねん?」 第二章 嫁ハ…

「横丁の引力」三浦展

横丁フィールドワークの成果 吉祥寺のハモニカ横丁、新宿ゴールデン街等、東京に残る横丁のフィールドワークを通じて現代の都市と人々の指向をあぶりだした著作です。 ソフトとハードの両面から都市に迫る 三浦さんは都市をソフトとハードの両面から読み解く…

「銃・病原菌・鉄」ジャレド・ダイアモンド

「サピエンス全史」に続いて手に取った人類史だったが、、、 ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」がすごく面白かったので、今まで読まなかった人類の歴史みたいな本も面白いものだなと続いて手に取ったのがこの本でした。 文明がどう発達していった…

「SUNNY1~6」松本大洋

大人になって久しぶりにハマった漫画 大人になってから、普段ほとんど漫画を読まなくなりました。子供のころは漫画家になることが夢で藤子不二雄の「まんが道」をバイブルにしながら本気で100ページくらいの漫画を描いていたのに。ところが、どうにも魅力的…

「コンビニ人間」村田紗耶香

コンビニで働く36歳未婚女性の物語 第155回の芥川賞受賞作です。大学卒業後18年間コンビニバイトを続ける36歳未婚女性古倉さんが主人公。古倉さんはいわゆる一般的な女性が持ち合わせている恋愛観、世間体、常識みたいなものが欠落しているちょっと変わった…

「日本の工芸を元気にする!」中川政七

ふきんをはじめとして日本工芸を現代的に解釈しなおした雑貨などで人気の中川政七商店の13代目、中川政七さんの著書です。 注目の若手経営者 ユーザーとしても人にプレゼントをする時によく利用することや、社長の年齢が近いこと、グラフィックデザイナーと…

「描クえもん」佐藤秀峰

本との偶然の出会いも本屋の魅力 普段行く本屋とは違う本屋さんに行くと、普段は通らないジャンルの棚の前を通って意外な本に出会うことがあります。久しぶりに下北沢のビレッジバンガードに行ったら、面白そうな漫画があり、4冊も衝動買いしてしまいました…

「住宅」安藤忠雄

安藤忠雄が住宅について自作を通じて語った本です。安藤さんは巨匠建築家となった今もコンスタントに住宅の設計を続けているといいます。 割りに合わない住宅の設計 建築の設計料というのは総工費に対するパーセンテージで決まることが多いのですが、設計の…

「書庫を建てる」松原隆一郎 堀部安嗣

社会経済学者の松原隆一郎さんが建築家の堀部安嗣さんに書庫の設計を依頼し、完成するまでの経緯をまとめた共著です。 ヒューマンスケールの建築を丁寧に丁寧に 堀部安嗣さんはTOTOのギャラリー間で開催された個展を見て以来、興味を持っている建築家です。…

「東大から刑務所へ」堀江貴文 井川意高

ホリエモンと大王製紙前会長の井川意高が、東大や刑務所での体験について語り合った本です。井川氏は大王製紙の会長時代、子会社から借りた総額106億円をカジノで使うために借りて会社法違反で逮捕されたと言うツワモノ。 どちらも東大卒でありながら、品行…

「俺たちの明日」エレファントカシマシ

ロッキングオンがエレファントカシマシのボーカル宮本浩次のに行なったインタビューを1997年のものから2017年までまとめた上下巻です。 実は自分でも趣味でバンドらしきものをやっていて、ここ最近曲を作っていることもあり、頭のモードをミュージシャンモー…

「人生100年時代のお金の不安がなくなる話」竹中平蔵 出口治明

言わずと知れた竹中平蔵さんと出口治明さんが人生100年時代の生き方や経済について語り合う対談本です。 第1章は、まず、世界の変化に関する現状認識からスタートします。フィンテックの発達、現金から電子決済に日常の会計も移行しつつある世界のトレンドに…

「GA JAPAN 148 特集 小嶋一浩の手がかり」

デザインオリエンテッドな建築雑誌 日本の建築雑誌の中でも写真を中心とした紙面づくりでデザインを語るスタンスなのがこのGA JAPANです。写真家二川幸夫さんが創刊し、今は息子の二川由夫さんが後を継いでいます。 学生時代には建築雑誌をしょっちゅう買っ…

「都市は人なり 全記録」Chim↑Pom

チムポムが都市で遊んだ2つの展覧会の記録 アートユニット、チムポムが2016年に歌舞伎町の雑居ビルで行ったインスタレーション「また明日も観てくれるかな?」展と、2017年に高円寺のバラックで行なった「道が拓ける」展の文字どおり全記録です。残念ながら…

「縮小ニッポンの衝撃」NHKスペシャル取材班

グラフを見るだけでも価値のある本 2008年をピークに減少に転じた日本の人口。それが何を意味するのかをまとめた新書です。4ページ目に掲載されている人口予測のグラフを見るだけでも価値のある本だと思います。 日本の経済成長は人口増のおかげだった 1868…

「成功はゴミ箱の中に」レイ・クロック、ロバート・アンダーソン

柳井さんと孫さんが絶賛する男 マクドナルド創業者、レイ・クロックの自伝的ビジネス書です。序文をユニクロの柳井正さんが、あとがきをソフトバンクの孫正義さんが書き、さらに柳井さんと孫さんの対談まで巻末に収められており、柳井さんに至ってはこの本を…