とあるリーマン建築家の書評ブログ

建築、デザイン、アート、ビジネスなどを中心に興味の赴くままに読んだ本を不定期でご紹介します。

建築

「フラジャイルコンセプト」青木淳

あやふやな読後感 読後感のあやふやな本です。建築家、青木淳さんが折に触れて書いた論考やエッセイをまとめた本。フラジャイルコンセプトというタイトル通り、強く明快なコンセプトが語られるわけではなく、輪郭のあいまいな空気感だけが残ります。 中性的…

「バベる 自力でビルを建てる男」岡啓輔

自力でビルを建てる男 港区三田にセルフビルドで今も建設が続けられる一風変わった鉄筋コンクリートの住宅「蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)」を作っている岡啓輔氏の自伝的作品です。 世界にもたまにセルフビルドに憑りつかれた人がいる 歴史上、たまにすごい…

「これからの教養 激変する世界を生き抜くための知の11講」菅村雅信

代官山蔦屋書店で行われた11回の対談をベースにまとめられた本です。計11名。各分野の第一線で活躍する方々です。 1.東浩紀 作家・思想家 2.池上高志 人工生命研究者 3.石川善樹 予防医学研究社 4.伊東豊雄 建築家 5.水野和夫 経済学者 6.佐々木…

「建築家のためのウェブ発信講義」アーキテクチャーフォト・後藤連平

建築の情報サイト、アーキテクチャーフォトの編集者後藤廉平さんの本です。アーキテクチャーフォトは日常的によく見ていたのですが、後藤廉平さんという個人がやっているサイトだとは、また、その後藤さんが同世代の京都工芸繊維大学出身だということも知り…

「モデュロールⅠ」ル・コルビュジエ

「モデュロールマン」という曲を作っています(笑) 最近、趣味でやっているバンドで曲を作っています。所詮素人のバンドなので、プロみたいな曲は作れません。でも、建築をやっている人間だからこそ作れる曲ならあるかもしれないと思って今作っているのが「…

「代官山再開発物語」赤池学

代官山アドレス開発のドキュメンタリー 久しぶりに建築がらみの書籍のご紹介です。再開発案件に初めてかかわっていることもあって勉強を兼ねて読んでみました。これは代官山アドレスが再開発事業として計画されてから実現に至るまでのドキュメンタリーです。…

「子育てしながら建築を仕事にする」成瀬友梨 編著

アトリエ事務所から組織設計事務所、ハウスメーカー等で建築設計を仕事をしている執筆陣がどうやって子育てとの両立を図っているかをまとめた本です。 こんな建築本が出る時代になったか 本のタイトルを見たときに「こんな本が出る時代になったかぁ」とちょ…

「社長の「まわり」の仕事術」上坂徹

読者の多くは社長の「まわり」の人たち 社長や起業家について書かれた本は数知れず。ただ、読者の大半は社長でも起業家でもなく、その周囲を固めているスタッフであったりすることが多いのだから、社長の「まわり」の人が社長をどう支えているかを伝えるのも…

「丹下健三ディテールの思考」豊川斎赫

技術やディテールから丹下健三に迫った作品 豊川さんの著書をこのブログで取り上げるのは二冊目。もちろん丹下さんの本です。 取り上げられる建物は広島平和記念公園から赤坂プリンスホテルに至るまで全14作品。それらの歴史的な名作で、技術的なハードルを…

「横丁の引力」三浦展

横丁フィールドワークの成果 吉祥寺のハモニカ横丁、新宿ゴールデン街等、東京に残る横丁のフィールドワークを通じて現代の都市と人々の指向をあぶりだした著作です。 ソフトとハードの両面から都市に迫る 三浦さんは都市をソフトとハードの両面から読み解く…

「住宅」安藤忠雄

安藤忠雄が住宅について自作を通じて語った本です。安藤さんは巨匠建築家となった今もコンスタントに住宅の設計を続けているといいます。 割りに合わない住宅の設計 建築の設計料というのは総工費に対するパーセンテージで決まることが多いのですが、設計の…

「書庫を建てる」松原隆一郎 堀部安嗣

社会経済学者の松原隆一郎さんが建築家の堀部安嗣さんに書庫の設計を依頼し、完成するまでの経緯をまとめた共著です。 ヒューマンスケールの建築を丁寧に丁寧に 堀部安嗣さんはTOTOのギャラリー間で開催された個展を見て以来、興味を持っている建築家です。…

「GA JAPAN 148 特集 小嶋一浩の手がかり」

デザインオリエンテッドな建築雑誌 日本の建築雑誌の中でも写真を中心とした紙面づくりでデザインを語るスタンスなのがこのGA JAPANです。写真家二川幸夫さんが創刊し、今は息子の二川由夫さんが後を継いでいます。 学生時代には建築雑誌をしょっちゅう買っ…

「都市は人なり 全記録」Chim↑Pom

チムポムが都市で遊んだ2つの展覧会の記録 アートユニット、チムポムが2016年に歌舞伎町の雑居ビルで行ったインスタレーション「また明日も観てくれるかな?」展と、2017年に高円寺のバラックで行なった「道が拓ける」展の文字どおり全記録です。残念ながら…

「丹下健三と都市」豊川斎赫

最近の若手建築史家の中で丹下健三の研究でよく知られている人といえば豊川さんでしょう。 建築的不感症 建築の実務を初めて十数年、学生時代に比べると最新の建築雑誌を毎月食い入るように読み耽ることは少なくなりました。デザインのトレンドは5年、10年く…

「もがく建築家、理論を考える」T-ADS編

東京大学建築学専攻Advanced Design Studies の無料オンラインコースの内容をまとめ編集し直した建築家のレクチャー集です。 講師は隈研吾、磯崎新、香山壽夫、藤森照信、大野秀敏、妹島和世と日本建築界の大御所ばかり。そんなオンラインコースがあるのを知…

「坂茂の建築現場」坂茂

リーマン建築家のブログを名乗る割りに建築の本が全然出てこないのもなんなので、ようやく建築関連本です。発売されてすぐ買っていたものの、ちょこっと読んだまま放置していたのですが、改めて続きを読んでみました。坂さんがデビューしてから現在まで何を…